もはや犬を飼われている方では常識になりつつあるフィラリア症について触れたいと思います。


 そもそもフィラリアとは寄生虫です。ただよくいわれる寄生虫は消化管内寄生虫のことが多く、回虫やサナダ

ムシ(瓜実条虫)など便や肛門についていて気づくことが多いものです。

 フィラリアはこれらの消化管内寄生虫とは寄生する場所が異なり、血管の中、つまり血液中を生活スペースと

する虫なのです。

 このフィラリアの幼虫が蚊の体内に潜んでいて犬の血液を吸った時に逆に蚊の方から幼虫が犬の体内に入って

しまうことにより感染が成立します。まあこの媒介する蚊はフィラリアに感染した犬の血液を吸血することにより幼虫を宿すわけですが・・・。

 体内へ入り込んだ幼虫は約3ヶ月程犬の皮膚の下や筋肉に寄生し、その後血管に入り込んで血液中を移動

します。


 血液は心臓のポンプの働きによって体中を巡っているわけですから心臓の中を通ります。フィラリアの幼虫が

血液中に感染したものあればもちろん幼虫も心臓内部に流入します。

 そして心臓の中または心臓と肺をつなぐ血管の中にとどまります。

 幼虫はそこで成虫になります。成虫のフィラリアは最大で30cmにもなり何匹もの寄生になると心臓の部屋の

内部でそうめんが絡まってギュウギュウに詰まったような状態になってしまうことになります。



 こうなると心臓はポンプの機能を失い全身症状が現れ、最悪犬を死に至らしめることにもなります。

 症状はようは心疾患に似通っているところもあります。

 犬では老齢のため心疾患が出るケースが多いですがフィラリアによって心臓の運動が妨げられることによっても同様の症状が出てくるのです。

 様々なサイトなどでも記載されていますが症状として

●咳をする

●お腹が膨らんで来た

●疲れやすい

●血尿がみとめられる

 などなどありますがいずれこれらの症状が出たからフィラリアだ!となって病院へ行く、というのでは遅いの

です。


 一昔前では犬の死因のナンバーワンであったフィラリアですが現在では予防薬あるいは予防注射によって100%に近い確率で予防が可能となっていますのでぜひ予防に努めていただきたいです。

 当院では予防薬でのフィラリア予防の方法をとっています。

 毎年予防の前には去年の予防薬がうまく作用していたか確認のために抗原チェックの血液検査をさせてもらっています。

 猫さんでもフィラリアが心配だ!という飼い主の方にはスポットタイプ(背中に垂らすタイプ)の予防薬を勧めております。



                                            2014年 3月


 


  ※上記は当院の方針であり、他院と異なる場合があります。ご了承下さい。

 

フィラリア症(犬糸状虫感染症)

心臓の右心室から肺動脈に

寄生。約6〜7ヶ月で成熟して、

ミクロフィラリアを産むようになる。

フィラリアに感染している犬(感染犬)の体内で、メスのフィラリア

成虫がミクロフィラリアを産み、

それが感染犬の血液中に流れる。

そうした感染犬を蚊が吸血した

際に、血液と一緒にミクロフィラ

リアが蚊の体内に入る。

蚊の体内に入ったミクロフィラリアは、

1期幼虫から第3期幼虫(感染幼虫)へと成長する。第3期幼虫は蚊の口吻(こうふん:吸血針の部分、吻鞘ともいう)に

移動して、感染の機械を待つ。

蚊が吸血する際に、第3期幼虫(感染

幼虫)が犬の体内へ侵入。皮下組織や

筋肉・脂肪などで、約2〜3ヶ月かけて

発育を続ける。

HOMEに戻る

コラム目次に戻る