元来、犬はわれわれ人間がさまざまな場面で吠える特性を利用してきたわけですし、吠えることは
犬にとっての当たり前な行動と言えます。とはいえ現代の人間と犬との関係は家族同然のもの
となり、生活場所も身近で生活パターンも類似してきて、近隣への配慮というものが大きくなって
くるのは
必然です。
犬を全く吠えさせなくするというのは困難です。
ただ犬が日常遭遇する刺激に対し頻繁に吠えたり長時間吠え続けることを無くし飼い主と犬双方が
快適に暮らし、かつ近隣への配慮ができる状況となるのが理想ですよね。
【 原因 】
□気質、性格
本来吠えることを強化し、人間の生活に役立ててきた犬種は吠える傾向が強いともされています。
(ダックス、ビーグルなどのハウンド系、シェルティ、シェパードなどの牧羊犬、
ミニチュア・シュナウザーなどのテリア種、プードル、チワワなどの愛玩犬種等々)
□成長期の生活習慣
他人や犬との触れ合いが少なく、刺激不足の環境で成長した犬は人、犬また物音などに敏感に
反応し、吠える傾向が強くなっていきます。
また子犬の流通の問題から母犬や兄弟犬から引き離される時期が早かった子に関して不安傾向や
犬同士の社会化不足により吠えやすいということも考えられます。
□飼育環境
これは変更することはなかなか困難ですが、傾向として日本では欧米に比べこの無駄吠えが問題と
なるケースが多いそうです。
というのも日本の住環境に加えて犬が十分な生活スペースや適切なエネルギー発散の機会が得られ
辛いということに起因する傾向が強いからだそうです。
【 対策 】
○ まずは犬をコントロールするという意味ではどのような状況でも「待て」ができるようにすると
いうのは強みです。
吠えるような状況では犬が興奮状態のことが少なくありません。「待て」をかけることで一旦
気持ちがリセットできる場合があります。
これはご褒美を使い出来たらご褒美、でいいのですがよくいつものご飯の時にお座りとセットに
なっている子がいるので散歩の時でも訓練するということが必要でしょう。“どんな時でも”です。
○ 家の前が人通りが多くその人に対して吠えてしまうのであればまずはその環境を変更するという
ことが理想です。人のみえる部屋には行かせないとか庭にいるのであれば場所の移動などでしょう。
ただしそれだけでは人に対しての吠えは治まらないでしょうから周りの協力が得られるのであれば
その人達にご褒美を持っていてもらい、遭遇したら与えてもらうなどの習慣付けもいいでしょう。
○飼い主さんの注意を引くために吠えるという場合はそのとき無視するということも効果的ですが、
飼い主さんが根負けしてしまうケースも多いので、吠えたら「あっ」と言ってその場から立ち去り、
10〜30秒程会わないというのを繰り返してみる。
○散歩中のすれ違う人や犬に吠えてしまう子の場合は犬や人が近くに来る前に、吠えないうちに
ご褒美を目の前にかざして注意をひかせながら人、犬が通り過ぎたのを確認してご褒美を与える。
○ 玄関のチャイムに反応して吠えてしまう場合はまずケージやいつもいる場所をハウスとして、
「ハウス!」のかけ声でそこに行けるような習慣付けがまず必要です。
これはご褒美を使ってでもいいでしょう。
これができたら今度は協力者にチャイムを鳴らしてもらいそれと同時にハウスの命令を出し、
ハウスへ行ったらご褒美、という習慣付けをしていくというところでしょう。
いずれの訓練も飼い主さんの忍耐、根気が必要です。ただ習得すればお互いがより快適に暮らせる
ことになります。是非頑張っていただきたいです。
2013年 9月
※上記は当院の方針であり、他院と異なる場合があります。ご了承下さい。