肛門腺は肛門の時計でいうところの4時と8時の方向の皮膚の下に存在する袋状のものです。
この袋は肛門の3時と9時方向辺りに出口があります。
などに役立てていたものです。
スカンクはこの液体を霧状に勢いよく吹き出させることができこれにより敵を撃退するわけです。
(厳密にはオナラではないのですね)
猫さんは外に出る子は例外でしょうが犬も猫も屋内で飼育されることが多くなった昨今ではテリトリー
なども必要なくなり無用の産物ではあるのですが、生きて代謝がある限り液体は貯留していくのです。
普段生活している上で排便時や興奮時に自発的に分泌していれば問題は無いのですが出口までの経路で
詰まってしまったりする場合があります。
この肛門腺の液体には個体によって性状が異なり、サラッとした子もいれば練りからしのような子やゴマ
ペーストのような子もいます。なので詰まりやすさの差はあるでしょう。
いずれ排出経路が塞がってしまっても分泌液は生成され続けるわけですから袋状のものはどんどん
膨らんで拡張していきます。
この時点で
○お座りの姿勢のまま肛門を地面に擦りながら前進する。
○お尻の方を気にして顔をもっていきクルクル回る機会が増える
○何もしていなくても便の匂いとは異なる異臭がする
などの症状がみとめられることがあります。
この時点では肛門腺を指で絞り圧迫することで内容を排出させることが可能です。ただあまり長期間貯留し続けていた場合は溜まっていた液が膿状のものになってしまっている場合もあります。
そうなると抗生剤を飲んだり肛門腺を洗浄したりする必要性も出てきます。
ここで何もせずに様子を見ていくと肛門腺がパンパンになった結果皮膚を破って外に液が溢れるという状態に陥ります。
こうなると傷口の消毒に通院してもらう必要がありますし、舐めて傷を
広げないようカーラー生活を余儀なくされることもあります。
←これは肛門の左側の袋が破けてしまった図です
「気づいたらお尻から血を流している!」ということで来院されて
みてみるとこの状況だったということもよくありますね。
こうならないためにも月1回程のペースで肛門腺を絞ってもらっても
いいかもしれません。コツをつかめば飼い主さんが絞ることも可能な場合もあります。
あまり溜まって破裂というのを何度も繰り返しているとそこの組織が変性し慢性の炎症をもったり液体があちこちで溜まってきたりといった状況になることがあります。こうなると手術で摘出の必要性が出てきてしまいます。
まれにこの変性の範囲が広すぎてなかなか完全摘出が困難になってしまうケースもあります。
こうならないためにも日頃のメンテナンスは大切です。
肛門腺の絞り方もお教えしますのでご相談下さい。
2013年 10月
※上記は当院の方針であり、他院と異なる場合があります。ご了承下さい。